犬の膝蓋骨(パテラ)脱臼について|滑りやすい床での激しい遊びは要注意
犬の膝蓋骨脱臼は、一般に「パテラ」とも呼ばれ、犬の膝のお皿(膝蓋骨)が正常な位置からずれる病気です。
膝蓋骨が何度も脱臼すると、関節炎を引き起こし、徐々に痛みが強くなり日常生活に支障を来すことがあるため、ステージや状況に合わせた治療が重要です。
本記事では、膝蓋骨脱臼の症状、原因、治療法、そしてその予防や対策について、詳しくご説明します。
■目次
1.よく見られる症状
2.原因
3.治療について
4.日常での注意点や予防
5.最後に
1.よく見られる症状
膝蓋骨脱臼は重症度によってグレードⅠからⅣに分類され、グレードが高くなるにつれて症状の重さも増します。
初期の段階では痛みなどの症状が見られないことも多く、飼い主様が気が付かないケースも珍しくありません。
しかし進行すると、後ろ足を地面に付けずに、ケンケンやスキップをしているように歩いたり、後ろ足を痛がったりする様子が見られます。
そして、重度の場合には膝蓋骨が常に外れた状態になり、起立や歩行が困難になることがあります。
また慢性的な脱臼は、膝関節に過剰な負荷がかかることで前十字靭帯が断裂してしまう可能性が高まります。
飼い主様は愛犬の歩行パターンや行動の変化に注意を払い、異常を感じた場合には早めに獣医師にご相談ください。
2.原因
犬の膝蓋骨脱臼の原因には、先天性のものと後天性のものがあり、先天性のものは生まれつき膝関節に関わる筋肉や骨になんらかの問題があり、成長とともに症状が現れます。
一方、後天性のものは高所からの落下や足を滑らせることによる転倒、交通事故などによる外傷や強い衝撃が加わることが原因で起こります。
また、膝蓋骨脱臼には膝蓋骨が内側に脱臼する内方脱臼と、外側に脱臼する外方脱臼の2種類があります。
特に小型犬では、膝蓋骨が内側に脱臼する内方脱臼が多く、これは脛骨や筋肉の発育異常が主な原因です。大腿骨には膝蓋骨を正しい位置に保つための溝がありますが、この溝が浅いことや、脛骨にねじれが生じていると膝蓋骨が外れやすくなります。
そして、外方脱臼は大型犬を中心にまれに発症し、内方脱臼よりも痛みが強く出やすいのが特徴です。
3.治療について
犬の膝蓋骨脱臼の治療方法は、症状の重さや脱臼の程度に応じて異なりますが、外科手術と内科療法があります。
外科手術は、グレードが重度でなくても進行している傾向があるケースも、繰り返し脱臼する状態に適しており、大腿骨の滑車溝を深くする手術や、膝蓋骨が付着する靭帯の位置を矯正する手術などがあります。
一方、比較的軽度のケースでは、膝を保護し、症状の軽減を目指とした内科療法が選択されることが多く、痛み止めや関節保護剤の投与、適切な運動管理が行われます。
また、手術を避けたい場合や、愛犬の年齢や健康状態によっては、体重管理や生活習慣の調整による緩和療法も効果的です。
どの治療方法を選択するかは、愛犬の健康状態や生活環境、治療に対する期待とリスクを総合的に考慮した上で、獣医師の診断と飼い主様の希望に基づき決めていきます。
適切な治療を行うことで、愛犬の生活の質を維持し、快適な日常生活を送ることが出来るようになります。
4.日常での注意点や予防
愛犬の膝蓋骨脱臼を予防するためには、日常生活での注意が重要です。
効果的な予防策の一つは、愛犬の体重管理です。肥満は膝関節への負担を増加させ、脱臼のリスクを高めるため、定期的な体重チェックと適切な食事管理が必要です。
また、適切な運動で筋肉をつける事は重要ですが、高い場所からのジャンプや滑りやすいフローリングでの激しい遊びは、膝に負担をかけるため注意が必要です。
そのため、絨毯やマットなどの滑りにくい素材を使用し、愛犬が安全に過ごせる環境を整えてあげましょう。
さらに、愛犬の日々の行動や歩き方に注意を払い、異常が見られた場合はすぐに獣医師にご相談ください。
5.最後に
膝蓋骨脱臼は、その程度によって症状や治療方法が異なりますが、状況によっては適切なケアと予防策によって管理することが可能です。
特に小型犬は、膝蓋骨脱臼が起こりやすい傾向がありますので、膝に極力負担をかけないようにお過ごしいただきたいと思います。飼い主様が愛犬との生活をより良いものにするために、この記事がお役に立てれば幸いです。
当院の関連記事についてはこちかからご紹介しています
・歩き方がおかしい、痛そう、これって病気? ~犬と猫の関節に症状が現れる疾患について~
・定期的な健康診断②「身体検査について」
・定期的な健康診断④画像検査(レントゲン検査・エコー検査)
にゅうた動物病院|相模原市 相模大野・東林間の動物病院
診療内容についてはこちらから