にゅうた動物病院コラム

猫の肥大型心筋症について|初期での発見が難しい病気

猫の肥大型心筋症について|初期での発見が難しい病気

肥大型心筋症は、猫の心臓病の中で最も多く発生するといわれています。
心臓は心筋という筋肉でできていて、収縮と拡張を効率よく行って血液を循環させます。肥大型心筋症を発症すると、この心筋が極度に分厚くなることで心臓がうまく拡張できず、内部の空間が狭まり、心筋の伸縮性が低下することで、十分な血液が送れなくなります。

肥大型心筋症を始めとした猫の心臓病は、初期には異変に気づきにくく、明確な症状が現れる頃には治療が難しい状態になっているケースが多くみられます。
そのため定期的に動物病院を受診し、聴診やエコーなどの検査を受け病気の存在を知り、経過を注視しながら、適切な治療とケアを行うことが大切です。

今回は猫の肥大型心筋症について、その症状や日ごろの注意点などを解説します。

■目次
1.よくみられる症状
2.原因
3.治療について
4.日常での注意点や予防法
5.最後に

1.よくみられる症状


猫の肥大型心筋症は、早ければ生後4か月ごろから発症し、初期にはほとんど症状が現れません。聴診すると心雑音が確認されますが、中には雑音が聴取されないこともあります。
肥大型心筋症が進行すると、活動性や元気の低下、食欲が落ちる、安静時でも呼吸数が多いといった変化がみられます。さらに進行すると、咳の発生や肺水腫、不整脈などを生じます。

また肥大型心筋症に関連して、動脈血栓塞栓症という病気が現れる場合があります。これは心筋症によって血栓が作られ、主に左右後肢の付け根で詰まって後肢の血行が遮断されることで、麻痺や壊死を起こす病気で、激しい痛みを伴います急にぐったりしたり、足が動かなくなったり、そのまま亡くなってしまうこともあるので、注意が必要です。

 

2.原因


原因としては遺伝的素因が関係しており、メイン・クーンやアメリカン・ショートヘア、ラグドール、ペルシャなどの純血種で多く発生することが知られていますが、雑種猫にも発生する病気です。
純血種を迎えられた飼い主様は特に、何も異常がなくてもまず1回は検査をして心筋症の所見があるのかどうか知ることをお勧めします

レントゲン検査・エコー検査についての詳細はこちらから

 

3.治療について


肥大型心筋症を根治させることは難しく、治療の目的は悪化を防ぐことが中心となります。

猫の肥大型心筋症を治療するうえで重要となるのは、重症度に合わせて治療内容が変化する点です。
明らかな症状がなく、かつ心臓の機能や形態に大きな異常がない場合は、定期的(6~12カ月に1回)に検診を行い、治療が必要となるかをチェックします。

また、何らかの症状が発生している場合は、心拍数や血圧の調整、収縮力の維持を目的としたお薬を使用します。
さらに血栓が確認された場合は、血栓の形成を抑制あるいは除去する治療を並行して行います。

 

4.日常での注意点や予防法 


猫の肥大型心筋症を完全に予防することは難しいのが現状です。特に心筋症になりやすい品種の場合は、定期的に検診を受けることが早期発見につながります
聴診の他にも心臓のエコー検査や、胸部のレントゲン撮影も早期発見のため有効な検査となります。

 

5.最後に  


繰り返しにはなりますが、猫の肥大型心筋症は完全に発症を予防できるものではなく、また初期は無症状であることが多いため、飼い主様が気づきにくい病気の1つです。

健康な時から愛猫の様子をよく観察し、信頼のおける主治医のもとで健康チェックを定期的に行うことが、早期発見につながります。また、普段の仕草で気になることがあった場合は、一度ご相談を含め来院されることをお勧めします。

当院では飼い主様と愛猫の楽しい生活の支えになるため、病気の早期発見・早期治療に力を入れています。些細なことでもお気軽にご相談いただけるよう、誠意を持って診療いたしますので、お気軽にご相談ください。

当院の健康診断についてのご紹介はこちらから
定期的な健康診断
定期的な健康診断②「身体検査について」
定期的な健康診断③「血液検査について」

 

にゅうた動物病院|相模原市 相模大野・東林間の動物病院
診療内容についてはこちらから

 

  • にゅうた動物病院コラム
  • ブログ
  • 公式インスタグラム
  • LINE
  • 動物ナビ
トップに戻る