子犬・子猫のかかりやすい病気について|おなかを壊す、咳などがよく見られる
我が家に子犬や子猫を迎えた時というのは、何物にも代えがたい貴重な瞬間です。
これから共に暮らす新しい家族に対して、たくさんの愛情を注ぐとともに、病気や健康管理に気を付けていきたいところです。
初めて家族を迎え入れた際に子犬や子猫がおなかを壊したり咳をしていたりなど少しでも体調が悪くなると心配になり、またその際にどのタイミングで動物病院に行ったらいいのか、そもそもどうしたら体調が悪くならないようにできるのか分からず、ご不安に思うこともあるかと思います。
ここでは、子犬や子猫がかかりやすい感染症とその予防方法について解説します。
幼い命を守るために飼い主さんができることをしっかりと認識しましょう。
目次
1.子犬期、子猫期に現れやすい症状について
2.子犬期にかかりやすい感染症と予防方法
3.子猫期にかかりやすい感染症と対応方法
4.まとめ
1.子犬期、子猫期に現れやすい症状について
子犬と子猫の病気や体調不良で出やすい症状は基本的には似ています。しかし個体や一部の病気などによっては発症する病状や時期が異なる場合もあります。
◆子犬や子猫を迎えた初期に起こりやすい症状
子犬や子猫を迎えた初期(おおよそお迎え直後~1-2週間程度)に起こりやすい症状は下記になります。
・下痢や嘔吐
下痢や嘔吐をする場合、感染症や寄生虫感染などの消化器系の問題が考えられます。当院でもおなかを壊しているような症状でご相談いただくことが多く注意が必要です。
・元気がない、食欲がない
元気がなく食欲がない場合は、感染症や消化器系の問題だけでなく、他の病気や状態も考えられます。また、ストレスや環境の変化による適応障害も原因となる可能性があります。
◆子犬や子猫を迎えて少し経ってから出やすい症状
子犬や子猫を迎えて少し経った時期(おおよそ2週間以降~)に起こりやすい症状は下記になります。
・咳やくしゃみ
咳やくしゃみをする場合は、感染性の病気(犬:ケンネルコフ、猫:カリシウイルス、ヘルペスウイルスなど)、気道の異物、呼吸器の疾患などが考えられます。
・目や鼻からの分泌物
目や鼻からの異常な分泌物がある場合、猫風邪などの感染症(結膜炎、鼻炎)、呼吸器の問題、先天性の問題などが関与している可能性があります。
2.子犬期にかかりやすい感染症と予防方法
子犬は免疫力が未発達のため、成犬と比べて感染症にかかりやすい特徴があります。
この時期にかかりやすい感染症の代表的なものとしては、犬パルボウイルス感染症、犬ジステンパーウイルス感染症、ケンネルコフなどがあります。
・犬パルボウイルス感染症
犬パルボウイルスは感染力が強く、激しい嘔吐や下痢の症状を起こし、子犬での死亡率が高い疾患です。
・犬ジステンパーウイルス感染症
犬ジステンパーウイルス感染症は、下痢や嘔吐といった消化器症状と咳やくしゃみなどの呼吸器症状を示すことが多く、重度になるとけいれんや麻痺、衰弱を起こす死亡率の高い病気です。
・ケンネルコフ
ケンネルコフとは、犬にカゼ症状を起こす感染症の総称です。
乾いた咳が特徴で、重症化すると気管支炎や肺炎に至ることがあるため、早期に治療が必要です。
これらの感染症は子犬の命を脅かすものですが、ワクチン接種により予防できます。
ワクチンの効果を最大限生かすためには、適切な時期に接種することが重要です。
また、特に小型犬では幼齢期に低血糖が生じやすく、ふらつきや元気消失などが見られます。3か月齢以下の子犬の場合、半日以上食べない時は要注意です。
必要な栄養に対して体が小さいため、食事の回数を多めにし、栄養価の高いフード(子犬用のもの)を使用することで対策します。
3.子猫期にかかりやすい感染症と対応方法
子猫は子犬と同様に、免疫力が未熟です。子猫期にかかりやすい感染症の代表的なものとして、ウイルス性の病気があり、ヘルペスウイルスやカリシウイルス、猫汎白血球減少症などが代表的です。
・ヘルペスウイルス
ヘルペスウイルスは、いわゆる猫カゼ(猫にカゼ症状を起こす感染症の総称)の原因となり、くしゃみや鼻水、目の結膜の炎症などの症状を起こします。その結果、食欲が低下して衰弱することがあります。
・カリシウイルス
カリシウイルスはヘルペスウイルスと同様に猫カゼの原因となり、くしゃみや鼻水、目の結膜の炎症などの症状を起こします。
特にカリシウイルスに感染した場合、舌や口の粘膜に潰瘍(粘膜が炎症によって強く傷ついた状態)を生じ、口の中が痛くてうまく食事ができなくなります。
・猫汎白血球減少症
猫汎白血球減少症はウイルス性疾患で感染力が強く、感染から数日で発症します。
激しい腸炎によって嘔吐や下痢といった症状が現れ、脱水や免疫力の低下を招き、衰弱して命を落とす可能性もあります。
子犬と同様に、これらのウイルス性の感染症はワクチンによって予防できます。
適切なタイミングで確実に接種しましょう。
4.まとめ
子犬や子猫を病気から守るためには、ワクチン接種を適切なタイミングで実施し、年齢に合った食事内容にすることが大切です。
また子犬・子猫に共通して、寄生虫の駆除も行うようにしましょう。
健全な身体に成長するためには、免疫力が未熟で病気になりやすい幼齢期の過ごし方はとても重要です。
子犬・子猫はささいな不調でも急に症状が悪化し、衰弱してしまうこともあります。
不調と感じる場合はもちろん、まだ体が強くはないので、たとえ元気そうに見えても前述のような症状が見られたら様子は見ずに、早めに動物病院に相談するようにしましょう。
子犬・子猫のお家での過ごし方やごはんについては下記の記事でも解説しています。
・子犬・子猫を迎えた際のお家での過ごし方やごはんについて
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