にゅうた動物病院コラム

猫の発情期とは?|特徴や困った行動への対処法

猫の発情期とは?|特徴や困った行動への対処法

猫が成長して性成熟を迎えると、精巣や卵巣・子宮といった繁殖のための器官が発達し、発情期が始まります。
発情とは、メス猫が交配の準備が整った状態を指しますが、この時期に見られる行動は、飼い主様にとって時に困った状況を生むこともあります。

今回は、猫の発情について「いつから始まるのか」「どんな行動が見られるのか」「困った行動への対処法」を解説します。



■目次
1.発情が始まる年齢
2.発情する季節
3.猫の発情期に見られる行動
4.困った行動への対処法
5.おわりに

 

1.発情が始まる年齢


一般的に、猫は生後6~10か月で性成熟を迎えます。
性成熟とは、繁殖の準備が整い発情が始まることを指し、猫の成長の大きな節目ともいえます。
発情のタイミングやその後の行動には個体差もありますが、この時期を過ぎると徐々に発情期特有の行動が現れやすくなります。

 

2.発情する季節


猫はもともと季節繁殖動物であり、日の長さを感じ取り、主に2~8月の間に発情を繰り返します。このため、春から夏にかけて発情期を迎える猫が多く見られます。

しかし、屋内で飼われている猫は照明などによって外の自然光に左右されにくく、1年を通して発情する可能性があります。

 

3.猫の発情期に見られる行動


発情期に入った猫には、次のような特徴的な行動が見られます。

・甲高い声で繰り返し鳴く
発情期の猫は、オスを引き寄せようと甲高い声で鳴き続けることが多く、この「発情鳴き」は一晩中続くこともあります。
こうした鳴き声は周囲にも響きやすく、飼い主様のみならずご近所への騒音にもなり得るため、対策が求められることもあります。

・体をこすりつける、転がる、腰を上げるポーズをとる
猫は発情期に頭や体を壁や床にこすりつけたり、床の上でゴロゴロと転がったりすることがあります。
また、腰を高く持ち上げてかがむ「ロードシスのポーズ」と呼ばれる姿勢をとることも多く、このポーズは交配の準備ができているサインです。

 

<メス猫の発情周期と4つの段階>
メス猫の発情には「発情周期」と呼ばれるサイクルがあり、4つの段階を順に繰り返します。

①発情前期(期間:約1〜5日)
行動が活発になり、飼い主様に甘える行動が増えます。この時期にはトイレ以外の場所で排尿したり、食欲が低下したりすることがあります。

②発情期(期間:約4〜10日)
発情のピークにあたる時期で、メス猫はオスを受け入れる状態になります。
この期間に発情鳴きが特に強まり、腰を高く持ち上げるロードシスのポーズを頻繁にとります。

③発情後期(期間:交尾後1〜3日、未交尾で約7日)
交尾をした場合、この時期に発情行動が急速に落ち着きます。
未交尾の場合は発情が一旦停止し、約7日後に再び発情前期に戻ります

④発情休止期(期間:次の発情期まで、または妊娠していた場合は出産まで)
発情休止期には発情行動が見られなくなり、メス猫は通常の静かな状態に戻ります。
妊娠した場合、発情は出産まで停止し、出産後しばらくしてから再開されます。

 

4.困った行動への対処法


発情期に見られる鳴き声やマーキングといった行動への有効な対処法として、避妊手術が挙げられます。
発情期に現れる行動は、性ホルモンの過剰分泌による生理現象が原因であるため、しつけやお薬では抑制が難しいと言われています。

避妊手術を行うと、卵巣や子宮が取り除かれることでホルモン分泌が大幅に減少し、発情期が訪れなくなります。
これにより、発情期特有の鳴き声や体をこすりつける行動、ロードシス姿勢なども見られなくなるため、静かで落ち着いた生活を送ることができるようになります。

また、避妊手術には発情による行動の抑制だけでなく、ホルモンが関与する病気の予防効果もあります。例えば、子宮蓄膿症乳腺腫瘍などのリスクを軽減できることが報告されており、健康管理の一環としても大切な手術です。

避妊手術を行うことで、飼い主様にとっても愛猫にとっても安心して生活できる環境が整います。
手術を検討する際にはかかりつけの獣医師とよく相談し、愛猫の健康状態に合ったタイミングで実施するようにしましょう。

猫の避妊手術についてはこちらで解説しています

 

5.おわりに


猫の発情期には、自然な生理現象による特徴的な行動が見られます。これらは猫にとっては本能的で正常なものですが、飼い主様には困った行動と感じられることが少なくありません。
こうした発情期の行動への対策として、避妊手術が有効であることがわかっています。特に、生後1年未満での手術が推奨されており、適切な時期に実施することで、猫と飼い主様が快適に過ごせる環境を整えることができます。

発情期の行動でお悩みの場合、愛猫の成長が十分であれば早めに手術を行うことも可能ですので、まずは当院の獣医師にお気軽にご相談ください。

 

■発情期や避妊手術に関する記事はこちらです
犬の去勢手術とは~男の子のわんちゃんを迎える飼い主様へ~
犬の避妊手術とは~女の子のわんちゃんを迎える飼い主様へ~
猫の去勢手術とは〜男の子のねこちゃんを迎える飼い主様へ〜
予防医療の重要性について ~身近なワクチン接種・ノミやマダニの駆除・フィラリア予防・避妊や去勢手術のお話~

 

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