にゅうた動物病院コラム

愛犬の皮膚のかゆみについて|実はこんな病気が隠れているかも?

愛犬の皮膚のかゆみについて|実はこんな病気が隠れているかも?

犬の皮膚は私たち人間と比べて薄く、皮膚のトラブルは頻繁に起こってしまいます。
その中でも特に問題になるのが、皮膚のかゆみです。しきりにかゆがっている愛犬を見て、何とかしてあげたいと思わない飼い主様はいらっしゃらないと思います。
かゆみの原因は多岐にわたるため、その症状から皮膚の検査を実施して正しく診断するとともに、適切な治療を進めることがとても大切です。

今回は愛犬の皮膚のかゆみについて、なぜ起こるのか、かゆいときにどういった症状が見られるのか、ご家庭でどのようなケアができるのかを中心にお話します。

 

■目次
1.犬がかゆいときに見せる行動
2.犬がかゆみを感じているときに現れる症状
3.かゆみの原因になる病気
4.診断
5.治療
6.ご家庭でできるスキンケア
7.まとめ

 

1.犬がかゆいときに見せる行動


犬はかゆみを感じているとき、そのサインとして足を舐める、皮膚をしきりに掻く、といった様子が見られます。こうした行動が散歩中やごはんを食べているとき、寝ているときに見られるかどうかが、かゆみの強さを判断する材料の1つになります。

強いかゆみを感じている場合は舐める・掻く行動にかなりの時間を費やすため、日常的にストレスを感じ、QOL(生活の質)が落ちてしまっている可能性があります。

 

2.犬がかゆみを感じているときに現れる症状


実際の症状としては、皮膚に赤みや腫れ、脱毛、湿疹、フケ、かさぶたなど明らかな症状が現れることがあります。
さらに、皮膚がベタつく、乾燥する、においが強くなるといった変化も見られるでしょう。

特に、体臭が普段と比べて強くなると、家庭内でもその変化に気づきやすくなります。実際に「最近、愛犬が臭うようになった」と感じて来院される飼い主様も少なくありません。

 

3.かゆみの原因になる病気


犬がかゆみを感じるようになる原因は様々です。こうしたかゆみの背後には様々な健康問題が隠れている可能性があるため、正確な診断が非常に重要です。
具体的な原因として以下のようなものが考えられます

外部寄生虫症:ノミやマダニ、シラミなどの寄生虫が原因で起こるもの。これらの寄生虫は皮膚を刺激し、強いかゆみを引き起こします。

膿皮症:細菌の異常増殖によるもので、皮膚が赤く腫れ上がり、膿を伴うことが特徴です。

マラセチア性皮膚炎特定の真菌(マラセチア菌)が過剰に増えることによって引き起こされる皮膚炎です。

皮膚糸状菌症:真菌(カビ)感染によるもので、通称「リングワーム」とも呼ばれます。

アレルギー性皮膚炎:ノミアレルギー、食物アレルギー、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎などが含まれます。

脂漏症皮膚の油分の異常分泌により、皮膚が油っぽくなるか、逆に極端に乾燥します。

心因性ストレスや不安が原因で起こることがあり、これによって皮膚を掻きむしったり、舐めたりすることがあります。

これらの症状が見られた場合は、早めに動物病院で適切な検査と治療を受けることが大切です。
正しい治療法は原因によって異なり、時には食事の管理、薬物療法、または環境の改善が必要となることもあります。

 

4.診断


かゆみの診断には問診がとても重要です。
まずは、どこがかゆいのか、いつからかゆいのか、他に病気にかかったことはないか、普段どのような食事を与えているか、どのような環境で生活しているかなど、愛犬のご様子をお聞きし、問診の結果に応じて検査を進めていきます。

 

5.治療


治療方法は、かゆみの原因に応じて多岐にわたります。
食物アレルギーが疑わしい場合は食べ物の変更や、皮膚の状態が悪い場合はスキンケアの方法を見直すこともあります。

また最近では、腸内細菌叢(腸の中にいる細菌)とアレルギー性皮膚炎との関連性が研究されていて、乳酸菌製剤を投与することで犬アトピー性皮膚炎のかゆみが改善されたという研究結果も出ているので、腸活が皮膚病の治療に役立つ可能性もあります

あるいは、当院では治療の選択肢として漢方を検討する場合や、かゆみが重度で状態が悪い場合は、病院で薬浴の治療を行うこともあります。
治療中は皮膚の状態を動物病院で定期的にチェックし、状態に応じた治療を行っていく必要があります。

 

6.ご家庭でできるスキンケア


ご家庭では、愛犬の皮膚を清潔に保つことが重要です。具体的には、定期的な入浴やシャンプー、保湿などが挙げられます。
皮膚のかゆみは、皮膚が傷ついたり表面の細菌叢が変化したりすることで現れます。そのため、症状が強くないときでもケアを怠らず、皮膚のバリア機能を強化することがポイントです。

 

7.まとめ


皮膚のかゆみは、愛犬にとって不快なものです。皮膚の病気にかからないために日頃からのスキンケアを心がけることはもちろんですが、かゆがっている様子が見られたらどうぞお早めに当院までお越しください。原因を丁寧に診断し、最適な治療を提案いたします。一緒に愛犬の健康を守り、快適に過ごせる日々を取り戻しましょう。

愛犬の皮膚のかゆみについて、もっと詳しく知りたい方は、当院までご相談ください。

 

■皮膚のかゆみに関連する記事はこちらから
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にゅうた動物病院|相模原市 相模大野・東林間の動物病院
診療内容についてはこちらから

 

<参考文献>
A Double-Blind, Placebo Controlled-Trial of a Probiotic Strain Lactobacillus sakei Probio-65 for the Prevention of Canine Atopic Dermatitis (jmb.or.kr)
Complementary effect of oral administration of Lactobacillus paracasei K71 on canine atopic dermatitis - Ohshima‐Terada - 2015 - Veterinary Dermatology - Wiley Online Library
A double‐blind, placebo‐controlled evaluation of orally administered heat‐killed Enterococcus faecalis FK‐23 preparation in atopic dogs - Osumi - 2019 - Veterinary Dermatology - Wiley Online Library

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