犬や猫の皮膚にできやすい良性のできものとは?|早めに知っておきたい特徴と治療法
愛犬・愛猫の体にできもの(腫瘍)が見つかったとき、「もしかしてガンかもしれない…」「体の中に転移していたらどうしよう」と心配になりますよね。
実は皮膚にできる腫瘍には、悪性のものもあれば良性のものもあり、その性質によって体への影響は大きく異なります。
しかし、見た目だけで腫瘍の性質を判断することは難しいため、早めに動物病院で腫瘍の種類を見極め、最適な治療法を選ぶことが大切です。
今回は、特に犬や猫の皮膚にできる良性のできものに焦点を当て、その種類や診断方法、治療法について詳しくお伝えします。
■目次
1.犬や猫の皮膚にできる良性のできもの|代表的な6つのタイプ
2.なぜ犬や猫の皮膚にできものができるの?
3.犬や猫のできものは危険? それとも大丈夫?
4.できものに気づいたらどうすべき?
5.動物病院での診断と治療
6.犬や猫のできもの予防|飼い主様にできること
7.まとめ|愛犬・愛猫の健康を守るために
1.犬や猫の皮膚にできる良性のできもの|代表的な6つのタイプ
犬や猫の皮膚にできる良性のできものは、主に次の6つのタイプに分けられます。
<脂肪腫>
やわらかくドーム状にぽっこりと盛り上がったできものです。特に犬の胸のあたりや体幹によく見られ、比較的ゆっくりと成長します。
<乳頭腫(イボ)>
カリフラワーのような見た目が特徴で、ウイルスの感染が原因となることもあります。イボ状の小さなできもので、場所によっては気づきにくいこともあります。
<皮脂腺腫>
特に犬に多く見られ、マイボーム腺腫と呼ばれるものが有名です。まぶたに小さなイボ状の腫瘍ができることがあり、見た目で気づくことが多いです。
<組織球腫>
ドーム状のできもので、体のさまざまな場所に発生します。自然に消えることが多いのが特徴で、若い犬に多く見られます。
<毛包嚢腫>
大きくなっても2cm程度の小さなできもので、シーズーなど特定の犬種で、手足や頭にできやすいです。痛みを伴わないことが多いですが、まれに炎症を起こすこともあります。
<黒色腫(良性のもの)>
黒いできもので、大きくても2cm程度にとどまります。さまざまな場所に現れますが、口の中にできた場合は悪性の可能性が高いため、特に注意が必要です。
2.なぜ犬や猫の皮膚にできものができるの?
犬や猫の皮膚にできものができる理由は、さまざまな要因が関係しています。主に、加齢や遺伝的な要素、そして環境の影響などが複雑に絡み合って発生すると考えられています。
3.犬や猫のできものは危険? それとも大丈夫?
犬や猫の皮膚にできるできものには、良性のものと悪性のものがありますが、その違いを見分けるのは至難の業です。
悪性のできものには、急激に大きくなるものと、ゆっくりと進行するものがあり、他の臓器に転移する可能性があります。
一方で、良性のできものは一般的にゆっくりと成長し、転移の心配はありません。
良性のできものも、稀に悪性へと転化することがあるため、良性と診断されても油断せず、早めの対処が大切です。
また、良性のできものを放置すると、次第に成長し、さまざまな問題を引き起こす可能性があります。例えば、できものが一定の大きさ以上になると、切除時に傷口が大きくなり、手術がより負担になることがあります。場合によっては、部分麻酔での対応が難しくなることもあります。
そのため、できる場所にもよっても異なりますが、できものの大きさが1センチ未満のうちに切除するのが理想的です。
4.できものに気づいたらどうすべき?
愛犬や愛猫のできものに気づいたら、ご自宅では以下のことに注目してみましょう。
・できものに出血や炎症がないか
・他の場所にも同じようなできものができていないか
・元気や食欲など、普段の健康状態に変化がないか
・できものが皮膚の上からつまんで動かせるかどうか
もしできものに気がついたら、できるだけ早めにご来院いただくのが理想です。良性か悪性かの判断ももちろん大切ですが、できものが小さいうちに切除することで、愛犬や愛猫への負担が少なく済む可能性が高まります。
5.動物病院での診断と治療
動物病院では、視診や触診、細胞診、生検などを用いてできものの性質を判断します。
特に、良性か悪性かを判断する際には、細胞診が重要で、針を使ってできものの細胞を一部採取し、その形や特徴を詳しく調べます。
また、判断がつかない場合やさらなる確認が必要な場合には、組織を取り出して病理検査を行うこともあります。病理検査では、細胞の構造をより詳細に調べるため、より正確な診断が可能です。
良性の皮膚のできものは、基本的には外科手術によって治療しますが、全身麻酔が必要なため、動物にとって負担が大きくなることもあります。
そこで当院では、この負担を軽減するために、サージトロンという機器を使った治療をおすすめしています。この機器は高周波ラジオ波を利用して止血や切開を行うもので、大きくない皮膚のできものに対しては部分麻酔で対応できます。
さらに、サージトロンを使用することで、皮膚への負担を最小限に抑え、出血が少なく、回復も早いというメリットがあります。また、手術後の傷痕もきれいに治ることが期待できます。
6.犬や猫のできもの予防|飼い主様にできること
ご自宅でできる最も大切なことは、シャンプーやブラッシングの際に皮膚の状態をチェックすることです。定期的に愛犬や愛猫の皮膚を観察し、異変がないかを確認することで、できものの早期発見につながります。
また、年齢や健康状態に合ったフードを選ぶことも重要です。適切な栄養バランスを保つことで、皮膚の健康を維持しやすくなります。
さらに、生活環境を整えてストレスを軽減することも、できものの予防には効果的です。ストレスが少ない環境で過ごすことは、健康維持にもつながります。
7.まとめ|愛犬・愛猫の健康を守るために
皮膚にできたできものには、良性のものもあれば悪性のものもあり、その判断を早めに行うことが大切です。
「まだ小さいし、大丈夫かな…」と様子を見てしまうのではなく、「小さいうちに見つかってよかった!動物病院で検査してもらおう!」と前向きに考えてみましょう。
愛犬や愛猫との幸せな時間をより長くするためには、早期発見と早期治療が大切になります。もし気になるできものを見つけたら、いつでも当院にご相談ください。飼い主様と愛犬・愛猫が安心できるよう、丁寧にサポートさせていただきます。
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