にゅうた動物病院コラム

病気による抜け毛には要注意 ~犬や猫の抜け毛対策について~

病気による抜け毛には要注意 ~犬や猫の抜け毛対策について~

犬や猫の魅力の一つに、やわらかな被毛が挙げられます。
全身をおおっている美しい被毛は、時として大量に抜けることもあり、驚いた経験がある飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか。ひとくちに抜け毛と言っても、健康で正常なもの、あるいは病気や何らかのトラブルに由来するものがあります
今回は犬や猫の抜け毛について、その原因と対策を解説します。

目次
1.抜け毛がひどくなる理由
2.犬と猫の抜け毛対策
3.最後に

1.抜け毛がひどくなる理由


◆毛周期や換毛期などによる生理的なもの

本来、犬や猫はミニチュアシュナウザーやプードルといった一部の品種を除き、被毛の長さが一定の基準に達すると抜け落ちて新しい毛が生える、という変化を周期的に繰り返しています
これを毛周期といい、成長期→退行期→休止期を反復します。

また、季節の変化も発毛に影響し、特定の犬では春と秋の年2回、換毛期と呼ばれ大量の抜け毛が発生する時期があります

特に太い毛と細い毛とで構成される「ダブルコート」をもつ品種では顕著に現れ、太い毛だけで構成される「シングルコート」の品種は換毛期がないと言われています。

 

◆病気や皮膚のトラブルによるもの

一方で、毛周期で毛が抜けるタイミングでなかったり換毛期でなかったりするのに抜け毛が増えている場合や部分的に脱毛をしている場合などでは、病気や皮膚のトラブルが原因で抜け毛が起こっている可能性があります

病気や皮膚のトラブルに由来する抜け毛には、いくつかの原因があり例えば以下のようなものが挙げられます。

・寄生虫や細菌、カビなどの感染、皮膚に生じた腫瘍などに由来するもの
・アトピー性皮膚炎や食物アレルギーに代表されるアレルギー性疾患によるもの
・副腎皮質機能亢進症や甲状腺機能低下症といったホルモン分泌異常によるもの
など

他にも原因は様々あり原因が多岐にわたるため、抜け毛が起こった場合は、なぜ毛が抜けるのかを十分に見極めたうえで適切なケアを施す必要があります
治療が原因に即したものでないと、抜け毛が悪化する可能性があります。



2.犬と猫の抜け毛対策


◆ブラッシング

皮膚にトラブルがない犬や猫の抜け毛対策として重要なのは、適切な被毛量を維持することと良好な皮膚の状態を維持することです
まずは、定期的にブラッシングやスキンケアを行いましょう

ブラッシングでは、コームを深いところからすくい上げるように行うと下の毛をうまくすくい上げることができます
また、ブラッシングは毎日行うとより効果的です

犬や猫がブラッシングを嫌がる場合には、以下のポイントに注意して行いましょう。
①無理に長時間行わないようにする
②最初はブラシを体に当てるだけにする
③ブラシを当てたらご褒美をあげる
④ブラッシングを行う時間を少しずつ増やす

愛犬や愛猫をブラッシング嫌いにしないように注意しながら、ケアを行ってあげましょう。


・猫のブラッシングについて
猫では、初めに毛づくろいの頻度が適切かどうかをチェックしておきましょう
毛づくろいの頻度は猫の品種、被毛の種類、ライフスタイルなどによって異なりますが、一般的に健康な猫は1日に数回毛づくろいを行い、毛を清潔に保ち、光沢があり、もつれのない状態にします。

もし、猫が過剰に毛づくろいをしたり、まったく毛づくろいをしなかったりする場合は、健康問題を生じているサインの可能性がありますので注意しましょう。
猫が過剰な毛づくろいをしている場合は、脱毛や皮膚炎につながることもあります

また、衛生状態を維持するためには飼い主の手助けが必要です
定期的にブラッシングを行い、抜け毛や汚れ、ゴミなどを取り除いてあげましょう。
そうすることで皮膚の炎症や感染症を予防するのにも役立ちます。

また、長毛の品種は毛が絡まって毛玉が生じることが多く、ひどくなると皮膚のトラブルが発生して脱毛することがあるので、毛玉を作らないように丁寧でより頻繁なメンテナンスを心がけましょう。

具体的なメンテナンス方法としては、柔らかい毛のブラシで定期的にブラッシングし、被毛の抜け毛を取り除くことが大切です。
またそうすることで、猫が毛づくろいをした際に飲み込んでしまう毛の量を減らすことができます。

長毛の猫のブラッシングは、背中、脇腹、お腹、しっぽなど、体全体をブラッシングすることが重要です。
ブラッシングは、頭から体全体に向かって行い、もつれや毛玉を取り除くように優しくなでます。また、毛の生えている方向にブラッシングを行い、毛を引っ張ったりしないようにしましょう。
脚や前足も忘れずにブラッシングしてください。
毛の結び目やもつれに気づいたら、クシで優しくとかしてあげるとよいでしょう。

 

◆スキンケア

犬の場合、シャンプーをその子に合った頻度で行ってあげましょう。
シャンプーの頻度は、犬種、被毛の種類、活動量など、いくつかの要因によって異なりますが、一般的にほとんどの犬の場合3~4週間に1回お風呂に入れシャンプーをしてあげるのが良いとされています
ただし、シャンプーの種類によっては、上記の頻度よりも短い間隔でシャンプーをしてあげることができたり、反対に上記の頻度よりも長く間隔をとってシャンプーをしてあげることが可能なものもあります。

また、皮膚の状態によっては、頻回でも使えるシャンプーなど適切なシャンプーを選択したうえで、上記記載の頻度よりも多くの回数でお風呂に入れてあげることもあります。
皮膚の状態によりどのようなシャンプーを使ったらよいのか、どのくらいの頻度でシャンプーを行ったらよいのか分からない場合はいつでも当院にご相談ください。

また、注意点として健康な状態の時に過剰な入浴を行うと犬の被毛から天然オイルを奪い皮膚を乾燥させてしまうことがあるので、健康な状態の時に頻繁にシャンプーを行うことはできるだけ避けましょう。

 

◆病気や皮膚のトラブルが原因の抜け毛対策

まずは前述のとおり日々のブラッシングやスキンケアでのメンテナンスが重要です。
毎日ブラッシングすることで皮膚に異常があった場合でもすぐに気が付くこともできます。
そして抜け毛の原因が病気の場合は、犬や猫の抜け毛の原因となっている病気をしっかりと突き止めたうえで、適切に治療を行っていくことが大切です
治療ではシャンプーやスキンケア、必要に応じてお薬を使用することがあります。

前述の通り、毛周期で毛が抜けるタイミングでなかったり換毛期でなかったりするのに抜け毛が増えている場合や部分的に脱毛をしている場合、かゆみを伴っている場合などは、病気や皮膚トラブルが原因で抜け毛が起こっている可能性がありますので、早めに病院を受診することをお勧めします。

 

3.最後に


犬や猫にとって、被毛は体全体の健康状態を反映していると言っても過言ではありません。
大切な愛犬愛猫の健康を守るためにも日ごろから愛犬や愛猫の体を観察しましょう。体の一部や全体の被毛が減っていたり、抜け毛の増加に伴って体の状態に変化が現れていないかなどを見ておくと、抜け毛の原因究明だけでなく病気の早期発見につながることがあります。
抜け毛の量が多いなと思った場合は、いつでも当院にご相談ください。

にゅうた動物病院|相模原市 相模大野・東林間の動物病院
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