犬と猫の心因性皮膚炎について|脱毛やかゆみはストレスが原因かも?
心因性とは、「精神的なものが原因となる」という意味です。
私たち人間にとっては何ともないことでも、動物にとってはストレスとなり、心因性皮膚炎などの症状として現れることがあります。
まずは何が原因になっているのかを特定して、犬や猫が落ち着いて暮らせる環境をつくることが大切です。
今回は犬と猫の心因性皮膚炎について、症状や原因、治療法などを詳しく解説します。
■目次
1.症状
2.原因
3.診断
4.治療
5.日常での注意点や予防法
6.まとめ
1.症状
よく見られる症状としては、脱毛やかゆみが挙げられます。
これは、ストレスによって自分の体を過剰に舐めたり、かじったり、引っかいたりすることで引き起こされます。そのため、口や爪が届く範囲(犬では手足の先や顔、尻尾など、猫では下腹部)に症状が現れやすいのが特徴です。
2.原因
心因性皮膚炎は、その名の通りストレスによって生じます。
とはいえ、そのストレスの原因はご家庭の飼育環境や動物の性格によってさまざまです。具体的には、以下のような外的要因が挙げられます。
・同居の動物が増える
・家族構成が変わる
・お留守番が増える
・生活リズムが変わる
・運動時間の短縮化
・引っ越し
・近所の工事や騒音
特に猫は室内の環境の変化に敏感で、模様替えをしただけでもストレスを感じてしまうことがあります。
3.診断
心因性皮膚炎は、数値や画像を用いる検査では判断できないので、他の病気以上に問診が重要になります。ご家庭の中やおうちの周囲で最近変わったことがないかなど、詳しくお尋ねしてストレスの原因を探っていきます。
また、ストレスの元が1つとは限らず、いくつかの要因が重なって発生することも多いので、慎重な判断が求められます。
4.治療
心因性皮膚炎の場合、ストレスの元となっているものを取り除くことが治療につながります。
まずは、最近変えたことや変わった要素があれば、それを元に戻してみるようお願いしています。一方で、家の近所の工事など、終わる時期がある程度わかっているケースでは、漢方を用いた対症療法を試みる場合もあります。
こうした対応でなかなか改善しない、または最初から症状がひどい場合には、向精神薬(精神安定剤)を処方することもあります。
5.日常での注意点や予防法
ご家庭では、犬や猫ができるだけストレスを感じない環境を整えることが大切です。
例えば、家族構成が変わるときには、先住の犬や猫のための時間をつくり、一人で過ごせる静かな部屋を用意するとよいでしょう。
近所で工事などの騒音がある場合は、寝床を静かな場所に移すのが効果的です。また、犬は毎日散歩に連れていき、猫は室内でしっかり遊ばせて運動させることが大切です。
とはいえ、ストレスの原因がはっきりしなかったり、取り除くのが難しかったりすることもあります。ストレスを抱えたままでは、たとえ皮膚炎の症状が出なくても生活の質(QOL)が大きく損なわれてしまいますので、当院では精神的にリラックスできるように漢方を処方することもあります。
6.まとめ
犬や猫の心因性皮膚炎は、生活環境のさまざまなストレスによって引き起こされます。何がストレスになっているのか判断できないことも多いので、まずは動物病院までご相談いただき、一緒に解決の糸口を探るところから始めましょう。
私たちが全力でサポートいたしますので、何かご不明な点やお困りのことがありましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。
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